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小町と佐助の法律相談 相談ファイル・・・その2

 

Q:うちで貸している借家に住んでいるAさんが「畳の表替えをしてくれ」と言うのですが、費用は大家のうちが払うべきなのですか?

 

A:家賃との兼ね合いもありますが、一般的な家賃の場合は、借家人のAさんに修繕義務があります。

 
 


佐助さんの相談 

私の父は借家を持っているのですが、最近、父が長年の夢であった世界一周旅行に出かけてしまい、その間の借家の管理は私に任されました。しかし、私は会社員で営業の仕事しかしたことがないので賃貸の法律の知識はないですし、ずっと実家住まいなので住宅の賃貸を経験したこともなく、正直どうしたらいいのか困っています。
Aさんから畳の表替えを頼まれたものの、父の不在中に私一人の判断で費用を負担して、それが間違っていて、Aさんと父がトラブルになったら困るので、先生、アドバイスをいただけないでしょうか。
 


    • 二見弁護士:お父さんの旅行中だけとはいえ、借家の管理は大変そうですね。長い間、大変でしたね。

 
佐助 : そうなんですよ。親父の夢が世界一周旅行だなんて知らなくて、「金が貯まったから、世界一周してくる!その間のことは任せた!」なんて言って、飛び立って行きました。
 

    • 弁:夢があっていいじゃないですか。 

 
佐助 : そうなんですが、その間、家のことでちょこちょこ連絡を入れてたら、旅のムードも興ざめするだろうからって、私なりに気を遣っているんですよ。
 

    • 弁:なるほど。私でよければ、佐助さんの力になりますよ。 

 
佐助 : 先生、助かりますよ。
 

    • 弁:早速ですが、畳の表替えの結論としては、家賃との兼ね合いが必要ですが、一般的な家賃の場合は、借家人のAさんに修繕義務があると考えられます。障子や襖の張り替えも同様です。 

 
佐助 : 家賃は決して高くはないと思うので、Aさん自身での表替えをお願いしていいってことですね。ちょっと言い出しにくいですけど、Aさんと話してみます。
あと、もうひとつ教えていただきたいのですが、これから秋にかけての台風を心配してるんですが、もし今度借家で雨漏りがした、とか屋根が飛んだってことになった場合はどうなりますか?
 

    • 弁:いろいろ心配なさっているのですね。 

 
佐助 : Aさんにいろいろ聞かれて、答えられなかったら恥ずかしいので、今のうちに少しでも予備知識をつけておこうと思いまして・・・。
 

    • 弁: そうですね。原則としては、借家人(Aさん)は家賃を支払っているわけですから、大家さんは借家を本来の使用目的に適合した状態で提供する義務があります。台風などで家屋が破損して、通常の使用に支障がある場合は大家さんに修理義務を認めるのが一般的です。民法では「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う」としています。・・・・・・(*1) 

 
 

    •  *1 民法606条1項。台風に限らず、雨漏りの修理なども貸主に修繕義務があります。

 
 
佐助 : 確かに、台風なんかで破損した場合は、Aさんに責任はないから修理させるわけにいかないですよね。
 
 

    • 弁: ただし、借家契約で特約がある場合は、その内容によっては借家人のAさんが修繕しなくてはならない場合もありますので、気をつけてください。・・・・・・(*2) 

 
 

      •  *2 特約には注意が必要です。ご自分が貸主あるいは借主になる際、賃貸借契約書の特約条項はよく読みましょう。市販の賃貸借契約書を利用している場合であっても、ご自分に不利になるような特約がないかどうかよく確認したほうが良いでしょう。

 
佐助 : 特約、ですか・・・。そういえば、うちに契約書関係のファイルがあったと思うので、一度確認しておいた方がよさそうですね。それを見れば、わかりますよね?
 

      • 弁: わかると思いますよ。わからなかったら、また聞いてください。
  •  

 

佐助 :  ありがとうございます。その時はよろしくお願いします。


おまけ  

貸主と借主のどちらに修繕義務があるかどうかを判断する主なポイント
  ・賃貸借契約書の特約条項
  ・破損の部位
   屋根・壁・床板・土台 → 貸主
   畳の表替え・障子・襖の張替え → 借主